こんにちは、営業代行の河合です。
「御用聞き営業はもう古い!これからはソリューション営業だ!」
ベストな営業スタイルを巡っての論戦で、しばしば御用聞き営業は時代遅れ扱いされてしまいます。
確かに御用聞き営業は、サザエさんの三河屋さんのように古くからある営業スタイルです。
しかし本当に御用聞き営業は、古い営業スタイルで時代遅れなのでしょうか?
イエス、ミスター。御用聞き営業が古いとおっしゃるのですか?
ノーノ―、それは違いますよ。御用聞き営業は、すべての営業の基本でございます。御用聞き営業を制する者は、営業を制しますよ。
御用聞き営業は、すべての営業の基本です。
御用聞き営業を学ばずして、営業を語ることはできません。
そこでこの記事では、御用聞き営業の特徴、メリット・デメリットを解説させて頂きます。
・最適な営業スタイルを探している方。
・御用聞き営業をしているけど、自信が持てない方。
・提案営業、ソリューション営業をしているけど、結果が出ない方。
そんな方は、どうぞ最後までお読み下さいませ。御用聞き営業の見方が180度変わりますよ。
御用聞き営業とは?どんな特徴があるの?
「御用聞き営業は古い!時代遅れだぁ!」
と言っているあなた。ではお聞きしますが、御用聞き営業とは何でしょうか?どんなスタイルを御用聞き営業と呼ぶのでしょうか?
もちろん、御用聞き営業とは、サザエさんに登場する三河屋さんのイメージそのものです。ですがそれは、御用聞き営業の一面でしかありません。
御用聞き営業とは、次のような特徴がある営業でございますよ。
顧客を定期訪問し、直接注文をもらうスタイル。
御用聞き営業をイメージするには、やはりサザエさんの三河屋さんを連想するのが一番です。
「まいど!三河屋です!」
マダム(お客さん)がいらっしゃる時間を見計らい、ひょっこりと勝手口から顔を出す。イエス、現代社会でこれをやったら犯罪ですね。
話が脱線しましたが、御用聞き営業とはつまり、顧客を定期的に訪問し、直接注文をもらう営業スタイルです。
営業マンが直接ご用(注文)をお伺いするので、お客様は労せずに欲しいものを手に入れることができます。
納品や伝票処理など、配達・事務を兼ねる。
御用聞き営業の特徴として、営業(売上を上げるためのプロセス)以外の仕事を兼任することです。
多くの御用聞き営業では、
・納品
・伝票処理
などの配達、事務を兼任します。
また業種によっては、修理・メンテナンスなどのアフターサービスも営業マンが作業する場合もあります。
特定の顧客と深く長く付き合う営業スタイル。
御用聞き営業の特徴は、顧客を選ぶことです。ご用を申し付けてくれるなら、誰でもいい訳ではありません。
特定の顧客と深く、長い期間付き合う営業スタイルになります。
後述しますが、御用聞き営業は高コスト体質なので、一定の売上を見込めるお客さんにしかできない営業スタイルです。
そのため顧客のターゲッティングがとても重要になります。
「このお客さんの御用聞きしたら、もっと売上が伸びるぞ!」
顧客の潜在するニーズを見極めて、顧客ごとの営業ウェイトを調整します。
サザエさんのお宅には、頻繁に三河屋さんが登場します。それはつまり、それだけサザエさん宅が三河屋の売上に貢献しているということですね。
▽御用聞き営業は、優良顧客を育てるのに最適です。
顧客のニーズを探り、欲しいサービスを先回りして届ける営業スタイル。
御用聞き営業は、しばしば
「お客さんから依頼されたものを、納期通りに届けるだけ」
と説明されていますが、それは間違いです。
なぜなら御用聞き営業のつもりでお客さんを訪れるだけでは、注文はもらえないからですよ。
こんにちは。なにかご用はありますか?
訪問して、顔を出して、雑談していれば注文がもらえる。そんな寝言は寝て言って下さいませ。
本来の御用聞き営業は、
・顧客を定期訪問し、雑談を通してニーズを探る。
・ニーズに沿った商品、サービスを提案する。
この2つを繰り返す営業スタイルです。
「このお客さんは、何が欲しいのか?」
「このお客さんは、どんなことに困っているのか?」
毎日訪問し、顔を合わせている間柄だからこそできるリサーチ力で、顧客のニーズを把握します。
把握した顧客のニーズをもとに、先回りして提案営業するのが、御用聞き営業のスタイルです。
御用聞き営業のメリット。
ほほう、なるほどですね。サザエさんの三河屋さんも見えないところで、このような御用聞き営業をしていたのですね。納得でございます。
では、御用聞き営業にはどんなメリットがあるのでしょうか?
顧客のニーズに沿った営業のため、成約率が高い。
御用聞き営業の最大のメリットは、なんと言っても成約率の高さです。御用聞き営業は、成約率が高いのですよ、ずば抜けて。
その理由は、顧客のニーズを理解し、顧客のニーズに沿った営業をしているからですね。
・・・ふう、困ったわ。もっと作業を効率化できるツールはないのかしら?
イエス、お客様。そのお悩みは、このツールで解決できますよ。
御用聞き営業は、足げよく訪問し、顧客との接触回数が圧倒的に多いので、ほかのどの営業スタイルよりも顧客のニーズを深く理解できます。
そのため、お客さんが本当に欲しいものを、ベストタイミングで提案することができるのですね。だから成約率も高くなるのです。
▽顧客のニーズを探るには、雑談力とヒアリング力が大切です。
顧客のニーズを満たすことで、信頼を獲得できる。
御用聞き営業のメリットは、お客さんからの依頼をこなすことで、信頼を積み重ねられることです。
1つ1つは小さな信頼でも、数多く積み重ねることで、お客さんからの信頼は絶大になります。
ねえ、この商品、明日までにもってきて!困ってるの!
イエス、お客様。分かりました。必ずや明日までにお持ちしましょう。(しかし100円の商品であります)
表面的には赤字に見えるかもしれませんが、これはお客さんの信頼を得るための必要経費のようなものです。
御用聞き営業ほど、顧客の信頼を獲得できる営業スタイルはありません。
それは御用聞き営業が、常に顧客のニーズを満たすことを最優先に行動するからでございますよ。
御用聞き営業が、営業の基本だと言われる理由は、ここにあるのです。
信頼を獲得することで、キャッシュポイントを作りやすい。
御用聞き営業により獲得したお客さんからの信頼は、何もキャッキャうふふするためのものではありません。
お客さんからの信頼が厚くなると、キャッシュポイントを作りやすくなるのですよね。
POINT営業におけるキャッシュポイントとは?
利益が出る商品、大量に発注してもらえる商品、定期的に注文が出る商品(リピート商品)を受注すること。
バックエンド商品とも呼ぶ。
大きな取引、お客さんのコア事業に関わる取引は、信頼がなければ参加すらさせてくれません。蚊帳の外で指をくわえて見ているだけでございますよ。
商売においてキャッシュポイントの争奪戦はとても大切です。そこを抑えるか、抑えられるかで、売上のゼロの数が変わってきます。
日々お客様の信頼を積み重ねている御用聞き営業は、争奪戦が始まった時に有利に戦うことができるのです。
▽御用聞き営業は、法人営業で売上を伸ばす基本スタイルです。
会社の知名度がなくても、特定の顧客から信頼を最大にできる。
御用聞き営業は、特に中小企業の営業部隊にメリットがあります。
なぜなら会社の知名度がなくても、特定の顧客からの信頼を最大にできるからです。
提案営業やソリューション営業では、営業力以前の問題として、会社の知名度がなくては話になりません。
この提案を実行すれば、生産効率を400%アップすることができますよ。すでに多くの企業で実績があり・・・
あなたの会社、聞いたことないわ。本当に大丈夫なの?
インターネットが発達した現代では、ちょっと検索しただけで多くの企業がヒットします。
その多くはどれも「わが社は最高の・・・」的なアレですよ。単刀直入に言って、胡散臭いのですよ。聞いたことない会社が素晴らしい提案していても。
ですが御用聞き営業は違います。
特定の顧客と深く長く付き合うこと、そして小さな信頼を積み重ねることで、そのお客さんの中でナンバーワンの存在になれるのです。
あら、ごめんね。うちは河合商事としかお付き合いしないの。うふ♪
い、イエス、お客様、営業明利につきるお言葉、感激の極みでございます・・・!!
「河合商事?なんだ、その会社?聞いたこともない。」
ほかの誰がけなしたとしても、お客さんただ1人から絶大な信頼をよせてもらえれば、それでいいのです。
御用聞き営業では、会社に知名度がなくても、それをひっくり返す力があります。
▽御用聞き営業は、顧客の信頼を積み重ねるのに最適です。
顧客からの信頼が厚いため、商談を有利に進められる。
御用聞きのメリット、そろそろ飽きた頃でしょうか。ですがまだ1つあるのですよ。
それは顧客からの信頼が厚いため、商談を有利に進められることですね。
商談での戦いは、はっきり申し上げてアンフェアなんですよ。何一つフェアな条件なんてないのです。
ごめんね、今回は他社から買うわ。
納期、価格、サービス、どれをとっても負ける要素がなかったはずなのに、なぜ・・・。
「相見積もりで理不尽に負けた!」って思うとき、ありませんか?その原因は、顧客との信頼関係かもしれませんよ。
御用聞き営業では、普段から養った信頼関係があります。これは商談では相当有利に働きます。
相見積もりを完全なる出来レースに仕上げることだって、可能なのでございます。
御用聞き営業のデメリット。
思ったよりメリットがありすぎて、自分でも驚きました。
しかし御用聞き営業は万能ではありません。次のようなデメリットがあるのです。
目的のない訪問は、ウザイだけ。
御用聞きのデメリットは、定期訪問が裏目に出てしまうときです。
目的なくお客さんを訪問しては、単にウザい営業になってしまいます。
お客さんとつながりたい一心で営業マンは、「顔だけでも・・・」と訪問します。
ですがお客さんからすれば、「お前の顔など見たくないわ」が本心です。
顔を出すなら、はよ見積書を作れ。
お客さんは心の中で、そう思ってるに違いありません。
キャッシュポイントを設定しないと、営業コストが回収できない。
御用聞き営業のデメリットは、高コスト体質にあります。
雇った営業マンが直接お客さんを訪問し、注文をとってくる。
手堅い営業体制ではありますが、営業マンを雇うのには大きなコストがかかります。
それに雇った営業マンの全員が、スーパーな営業マンではありませんしね、ごにょごにょ・・・。
営業コストがかかるので、キャッシュポイントがないと、苦しい経営になってしまうのですよ。
御用聞き営業では、「忙しい」と「売上」が直結しません。きちんとキャッシュポイントを作らないと、御用聞き営業は成立しないのです。
商圏を拡大しにくい。
御用聞き営業の基本スタイルは、訪問です。足を使って顧客を訪問し、注文を頂くスタイルです。
しかしながら、足を使って物理的に攻めるスタイルでは、商圏を拡大しにくいのですよね。
「商圏を拡大するから、既存客に加えて新規営業を100件回れ。」
いくら上司からの命令でも、物理的に無理なものは無理でございます。寝言は寝ながら言って欲しいですよね。
御用聞き営業では、新規営業で顧客を獲得した後は、既存客として定期訪問を重ねます。
つまり営業マンは年数を重ねるほど、既存客のフォローに追われやすくなるのですね。
守るは易し、しかし攻めにくい。これが御用聞き営業のデメリットでございます。
マンネリ化すると、競合他社からイノベーションされる危険。
また御用聞き営業では、マンネリ化の危険があります。
サザエさんの三河屋さんも特に新しい提案をしているようには見えないので、マンネリしてるにちがいありません。
もしもマンネリした状態で他社が提案営業をすると、あっさりとすべてをひっくり返されます。イノベーションというヤツですね。
他社にイノベーションを起こされると厄介でございますよ。
だって他社に奪われたのは売上ではなくて、顧客からの信頼でありますから。
マンネリしないように、常に最新情報を届ける工夫が必要です。
まとめ:御用聞きをしながら、手堅く売上を伸ばす!
思いのほか長くなってしまい申し訳ございません。
しかしこれで、「御用聞き営業は時代遅れではない!」ということが、よく分かったのではないでしょうか。
あらためて御用聞き営業についてまとめますと、
【御用聞き営業のメリット】
・顧客のニーズに沿った営業のため、成約率が高い。
・顧客のニーズを満たすことで、信頼を獲得できる。
・信頼を獲得することで、キャッシュポイントを作りやすい。
・会社の知名度がなくても、特定の顧客から信頼される。
・顧客からの信頼が厚いため、商談を有利に進められる。
【御用聞き営業のデメリット】
・目的のない訪問はウザイだけ。
・キャッシュポイントを設定しないと、コストを回収できない。
・商圏を拡大しにくい。
・マンネリ化すると、他社にイノベーションされる危険がある。
御用聞き営業は、営業の基本でございます。
顧客と信頼関係を築き、ニーズを探り、満たす。キャッシュポイントを作り、きめ細やかな営業を実現する。
これは営業をこえて、商売の基本にも通じますね。偉大ですよ、御用聞き営業は。
御用聞き営業は、現代でも通用する営業スタイルです。
ぜひ御用聞き営業を活用し、売上をワンランクアップさせましょう!それでは、また!
▽法人営業で売上を増やすコツは、こちらでございます。
▽御用聞きをしっかりしていれば、無理な接待で消耗する必要はありません。