こんにちは、河合商事の河合です。
私たちは顧客開拓の営業支援として、BDR部隊の新規立ち上げを数多く経験してきました。
事前MTGを繰り返し、リスト・スクリプトを作成。そしてアプローチ(テレアポ)稼働。いよいよクライアント様のBDR部隊が立ち上がる瞬間。
心の底から立ち上げ初日からの快挙を願いますが、現実はそう甘くありません。
「事前に聞いていた話と違う」
「予想していたことと違う」
「そもそも、向いてる方向性が違う」
ということ、多々あります。
稼働初日から初アポに歓喜できることは稀で、多くは稼働してから改善を繰り返した結果、アポイントを獲得します。
そのために必要なのが、KPI設定とテレアポ部隊(組織)のマネジメントです。
ここのハンドリングさえ適切であれば稼働期間とともに成果は向上します。しかしハンドリングが不適切だと、そのまま組織が空中分解することも珍しくありません。
だからこそ断言できます。BDRの立ち上げは、マネジメントとKPI設定が生命線だと。
新規営業・新規開拓の代名詞、BDR。
その立ち上げを成功させるマネジメント・KPI設定のポイントについて、今回はコールドコールを中心に解説していきたいと思います。
・営業部門の統括マネージャー
・BDR部隊のマネージャー
・BDR部隊のメンバー
皆様にご一読頂けますと幸いです。どうぞ最後までお付き合いくださいませ。
【補足ご説明】
・BDR:アウトバウンド型営業。これまでまったく接点のなかった企業にアプローチする。
・SDR:インバウンド型営業。これまで何かしらの接点があった企業にアプローチする。
Contents
前提理解|BDRを選択するメリットとデメリットと必要性。
BDR立ち上げのマネジメントとKPI設定を理解するには、その背景(前提)を理解することが大切です。
なぜなら管理・把握するマネジメント側と実際に稼働するメンバーで認識の差が生まれてしまうと、時間とともに空中分解するリスクが高くなるからです。
すれ違いの修正は、稼働前に。ズレを放置すると、のちのち取返しがつかなくなってしまいます。
BDRのメリット:アプローチを通じて仮説検証できる。
BDRのメリットとして、
・アプローチするターゲットを選択できる。
・潜在顧客へアプローチすることで、商談機会を増やせる。
・顧客の生の声を聴くことで、市場調査ができる。
などがあります。
これらのメリットを総括しますと、BDRの活動でアポ獲得はもちろんですが、それだけでなく
「仮説検証を繰り返し、適切なアプローチ方法を探る」
という面が強いです。
これは新しい商材などをスタートしたばかりで、売り方が定まってない場合によく当てはまります。
事前マーケティングを通じて顧客課題を想定はしてますが、はたしてその想定はどれほど当たっているのか・・・。
マーケティングの仮説をBDRを通じて検証できるのも、大きなメリットです。
BDRで得られた情報をもとに、SDRに繋げる・・・という手法も多くみられます。
BDRのデメリット:メンバーへの負担が大きい。
逆にBDRのデメリットとして挙げられるのが、
・断られることが多く、効率がよくない。
・断られることが多いので、メンバーへの負担が大きい。
・アプローチ結果を分析、改善しないと、不毛な消耗戦になりがち。
などが挙げられます。
この中でとくに考慮しなければいけないのが、「メンバーへの負担が大きい」こと。
負荷がかかっているメンバーをしっかりケアしなければ、BDR組織は空中分解・・・どころか、気が付けば誰もいなくなってしまった・・・というのは、悲しすぎるBDR立ち上げの結末です。
ですので、BDRの立ち上げ~運用マネジメントは、「メンバーのケア」もKPIとして追いかけていくことが大切です。
SDRだけでは不足する商談チャンス。
BDRはSDRに比べ、効率も悪く、メンバーへの負担も高いのが特徴です。
にも関わらず企業のBDRニーズが高いのは、SDRだけでは商談が不足する背景があります。
SDRは広告やセミナー集客からリード獲得し、何かしらの接点(資料ダウンロード・セミナー参加・名刺交換など)があった企業へアプローチする営業。
「はじめましての関係」ではないため、BDRで見られがちな受付NGなどはほぼ発生しません。だから効率もよく、メンバーへの負担もBDRほどではありません。
ですがSDR経由で獲得できるアポにも、限界があります。
SDR経由で獲得できるのは、いわゆる「課題が顕在化」しているアポイント。
課題を感じているからこそ、資料ダウンロードしたり、セミナーに参加するのですよね。
しかし課題を感じている企業はごく一部であり、大多数の企業は、
・課題を感じていない。
・課題を課題を認識していない。
・課題を感じているが、まだ大丈夫と思っている。
という状態です。こう書いてみると、営業あるあるかなと思います。
SDR経由で着実に売上を積み重ねるのも大切。しかしその問合せは、市場マーケット全体の極一部である。
・・・と考えると、やはりSDRである程度、売上を立てたら、次はBDRで攻めないといけないのですよね。
だって競合他社はBDRでどんどん潜在ニーズと取りに行ってるのですから。
先に取りつくされたら、市場のうま味はなくなってしまいます。だからこその、BDRなのです。
BDR立ち上げで起きる問題。
必要性と企業の命運を託されてスタートする、BDR。
しかしBDRの立ち上げは、困難の連続です。
弊社も多くのクライアント様の営業のご支援としてBDR組織を立ち上げてきましたが、多くは次のような困難に直面します。
事前情報(マーケティング情報)と現場が乖離する。
BDRのもっとも大きな壁は、こちらでしょう。
事前に準備してきた情報(マーケティング情報)と、現場でアプローチした感触が乖離することです。
たとえば、事前情報では、
「この商品は、食品製造業の企業にニーズがあるはずだ」
「この商品は、食品製造業の企業に売れるはずだ」
と予測していたのに、いざフタをあけてみると、
食品製造業の皆様のお役に立てるサービスでして。
???ちょっと話がよく分からないけど・・・???
ニーズがあると聞いていたのに、話すら通じないのですが!?!?
と、まったく事前情報と現場が異なっているケースは珍しくありません。
この困難に直面した場合、
・事前マーケティング情報を「正」とするのか?
・現場での反応を「正」とするのか?
どちらかを選択するかによって、(当然ながら)BDR組織の疲弊レベルは大きく変わっていきます。
数字が上がらないのをマネージャーが待てない。
BDRは、まだ見ぬ顧客を開拓するプロセス。相手は「はじめましての関係」であり、そもそも「課題すら気が付いてない」企業様たちです。
ゆえにBDR立ち上げは、1つ1つの困難を着実に解決しながら進むことになり、成果として数字が積みあがるのも時間がかかります。
ですが稼働して2日、3日、1週間・・・と成果が振るわない日が続くと、つい心に芽生えてしまうのが、
「お前はちゃんとやっているのか?」
「上に報告する俺のメンタルもギリギリやぞ!?」
という焦りとメンバーへの不信感。
もしもこの焦りと不信感がメンバーに伝わってしまうと、それは「ノルマ」「プレッシャー」と形を変え、メンバーに重くのしかかることに。
重圧環境下でも安定して成果を出せる鋼メンタルなメンバーは一人握りであり、多くのメンバーはそのような環境は望んでませんし、耐えられません。
日増しにプレッシャーが高まるにつれ、一人また一人と離職が止まらなくなり、やがて暗雲が立ち込めてしまうのは、BDR立ち上げあるあるです。
KPI設定を間違えて、組織が空中分解。
またプレッシャーをかけるつもりはなくても、メンバーにとってのプレッシャーになってしまうのが、間違ったKPI設定です。
KPIは正しく設定すれば責任感と行動力の源になりますが、間違ったKPI設定をしてしまうと、日増しにメンバーの生気を吸い取ってしまいます。
とくに注意したいのが、一日あたりの架電数。
一日あたりの架電数はもっとも把握しやすいKPI設定としてよく見かけますが、同時にそれが元で消耗している現場も見かけます。
BDRの架電はメンタル負荷が高いため、一人当たりの架電数は不安定になりがちです。また架電しているリストによっても負荷が変わるため、単純に「月1000コールだから、20日稼働なら1日50コール!」と平均を求めても、現場は「そうはならない」となってしまいがち。
負荷が高い業務を訴えたいメンバーと、日割り平均値通りに動いて欲しいマネージャーの摩擦が大きくなってしまうのも、BDR立ち上げで発生する問題です。
BDRマネジメントのカギを握るのが「メンバーの定着」
諸々の課題を解決しながら進むBDRは、マネージャーのハンドリングが生命線です。
ハンドリング次第では成果を上げ続けるBDR組織になれるため、マネージャーはうまく頑張りたいところ・・・・ですが、先ほどのような困難が舞い込むため、マネージャーも疲弊しがち。
ではマネージャーはどこに注意して、BDR組織をハンドリング・マネジメントしていけばよいのか?
そのヒントは、「メンバーの定着」「能力以上のパフォーマンス」になります。
時間が解決できることもある。しかし定着しなければ、ゼロからやり直し。
BDR立ち上げの難しさは、困難を解決しながら進む、ということにあります。
スタート初期ほど問題は発生しますが、しかし同時に解決しながら進むので、時間とともにメンバー・組織は強くなっていく・・・はずです。
・架電メンバーに知識が備わってきた。
・切り返しパターンに慣れてきた。
・商材、業界の知識が身についてきた。
同じメンバーで継続するからこそ、蓄積されるものは多くあります。
しかしここで問題になるのが、離職です。
メンバーが負荷の高い業務に耐えられず離職してしまうと、これまで積み重ねたものがゼロに戻ってしまいます。(もちろん、組織として蓄積もされますが・・・。)
短期間での離職が繰り返されると、専門知識も深まらないため、表面的なトークになり、ますます成果の出しにくい環境に。
BDRやテレアポ組織の離職率の高さは、ある意味有名であり、「そういうものだ」との暗黙知すらあります。
しかしこれを「よし」としてしまうと、メンバー離職のたびに、ゼロからのやり直しを繰り返し、一向にマネジメントも楽にならず、成果も出ません。
マネージャーが追いかけるKPIは多々あれど、それらを追いかける大前提として「定着率」を大切に育てていかないと、やがて「追いかけるのが苦痛」になってしまいます。
能力以上を発揮しなければ成果が出ないのが、営業。
BDR組織の立ち上げは、メンバーの定着が生命線です。
しかし「メンバーが定着すれば諸々解決するか?」と言いますと、そうでもありません。
なぜならBDRで成果を出すには、定着したメンバーそれぞれが、「自分の能力以上のパフォーマンス」の発揮が必要だからです。
BDRでテレアポを行う場合、架電する相手は、「あなたのことは知らないし、その商材にも興味もないし、そんな課題も感じてない」潜在ニーズな企業ばかりです。
潜在ニーズを掘り起こすには、専門知識やコミュニケーションスキル必要ですが、最終的には
「相手を動かす熱意」
がもっともジャッジされるところ。
実際、アポを量産するアポインターは、みな「キラートーク」として熱弁できるトークを自分の言葉で持っているものです。
潜在ニーズの企業からアポイントを獲得できるパターンで多いのは、
あなたがそこまで言うなら、日程調整しますよ!
というパターンであり、アポインターの熱意に押されてアポイントを承諾するケースは多いです。
このような「熱い最後の一押し」をするには、メンバー一人ひとりの高いモチベーションが欠かせません。
高いモチベーションを発揮するための「評価制度」ももちろん大切ですが、マネージャーはマネジメントを通じてメンバーのモチベーションを引き上げる、また引き下げないことが大切です。
前述のような「数字が上がらないから、ノルマを課して・・・」としてしまうと、BDRの成功から離れてしまいます。
BDR立ち上げのKPI設定とマネジメントのコツ。
上記のようなBDR立ち上げの背景、発生するであろう課題を踏まえて考えますと、BDR稼働におけるKPI設定は次のような形がおすすめです。
KPI設定のカギを握るポイントは、「メンバーの定着」「能力以上のパフォーマンス」、ですね。
デイリーKPIはブレ幅大きく、メンバーに負荷をかけがち。ウィークリーがおすすめ。
架電結果の数値化は大切ですが、細かすぎる数値化はメンバーへの負担を高くし、離職を招きます。
だからといって数値化・見える化しなければ、現場の把握も管理もできません。
そこでおすすめなのが、デイリー数値は収集しつつ、マネジメントはウィークリーで実施していくことです。
BDRは業務負荷が高いため、メンバーの稼働率が不安定になることがあります(つまり勤怠)。
不安定な稼働の中でデイリー数値の追跡したいがためにメンバーに安定稼働を求めると、そこで亀裂が走ることもあります。
ゆえにメンバーの不安定さを許容しつつ、ウィークリーで数値を平均化し、管理マネジメントしていくことが大切です。
架電数⇒担当接続率⇒資料着地⇒アポイントの順に改善。
BDR立ち上げのよくKPI設定されるのが、「アポイント数」。
インサイドセールスの最終ゴールとして管理しやすいKPIのため多用されますが、しかし「アポ数」をいきなりKPIにするのはおすすめできません。
なぜなら「アポ数」はISの最終KPIであり、その前段階としてクリアしなければいけない課題が山ほどあるから。
サッカーでイメージするなら、自ゴールからパスを回しはじめ、遠くに見える相手ゴールにシュートを決めるようなものです。
つまりいきなり「アポ数」をKPI設定運用しても、絵にかいた餅になり、管理・現場ともに疲弊して終わりがち、ということですね。
なので、「アポ数」の前段階にある課題をきちんと順番通りにクリアできるように設計します。
おすすめとして、
架電数⇒担当接続率⇒資料着地⇒アポイント数
の順にKPI設定し、数値改善していくことです。
しっかり相手ゴール前までボールを運び、そこから「アポイント数」のKPIを狙っていきましょう。
目標値から大きく乖離する場合、アタックリストが問題のケースが多い。
BDRのKPIは順番に改善が大切ですが、それに該当しないときもあります。
それは目標値から大きく乖離している場合です。
これは「そもそも向いてる方向性が違う」状態であることが多く、BDRでの「向いてる方向性」とは、使用しているリストの問題であることが多いです。
リスト属性が見当違いになっている場合、
・質の低いリストで断られることが多く、メンバーに負担がかかっており、架電数が伸びない。
・断られることが多く、担当接続率が伸びない。
・冒頭で機械的に断られるため、トークを改善する余地がない。
このような状況では「架電数⇒担当接続率⇒資料着地⇒アポイント数」の順を追った改善・マネジメントではなく、そもそもの根幹としてのリストの見直しが急務です。
まとめ:BDRはマネジメントが生命線!
新規BDR組織の立ち上げは、マネージャーのハンドリングとマネジメントが生命線です。
なぜならBDR立ち上げは多くの困難を抱えてスタートするので、「1つ1つ丁寧に解決しながら進む」ことが求められるから。
困難が次々と出現するBDRにおいて、「ガンガン行こうぜ」の作戦だけではパーティはすぐ全滅してしまいます。
BDRのKPI設定、マネジメントのコツを整理しますと、
【KPI設定とマネジメントのキーポイント】
・メンバーの定着がすべての施策の前提になる。
・定着するだけでなく、メンバーそれぞれが能力以上のパフォーマンスの発揮が必要。
【BDR立ち上げのKPI設定とマネジメントのコツ】
・デイリーKPIではなく、ウィークリーで数値管理、マネジメントを行う。
・架電数⇒担当接続率⇒資料着地⇒アポイントの順に設定、改善する。
・目標値から大きく乖離する場合、リストの見直しが急務。
これらをバランスよく、状況に応じて使い分け、チームをゴールまで導いてあげることが大切です。
繰り返しなって恐縮ですが、BDRの立ち上げは、マネジメントが生命線でございます。
※余談ですが他重要な要素として、「リストは命。スクリプトは魂。」があります。
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