こんにちは、営業代行の河合です。
営業DXの普及に伴い、パワーワード化しつつある言葉、それは
「営業を科学する」
・・・でございます。
営業をデジタル化し、営業活動をSFA(Sales Force Automation:セールス・フォース・オートメーショ:営業支援システム)に蓄積させていきます。
その結果、膨大な営業データが集まり、担当者別の商談件数の推移だけでなく、
・担当者別の受注率
・受注率の業界別の傾向
・受注理由、失注の分布
など、細かなセグメントごとに、データ化・グラフ化させることが可能に。それゆえ、「営業を科学する」とのワードが生まれるのですね。
確かに不確定要素が多く、属人的な要素だらけの営業が科学されることで、「売れるまでの方程式」が完成されるならば、どんなに素晴らしい世界になることでしょうか。
この世から売れない営業マンが少なくなるだけで、日本の幸福度は10ランクは上昇するはずです。
・・・しかしでございます。
私は思うのです。
営業を科学する前に、もっとやるべきことあるよな。
と。
「営業を科学する。」
それはとても大切なことですし、なんなら弊社だって、SFA導入してますし、WEBマーケばりばりですので、どちらかというと、「営業を科学している方」と自覚しております。
しかしだからこそ、安易に営業を科学する、つまり営業の分析に走る前に、もっとやるべきことがあるよな、と強く感じるのです。
この記事では営業DXによって生まれる新しい課題、「営業の分析」の落とし穴、そして運用のコツについて解説していきます。
結論から先に申し上げますと、事業を営業で加速させるときに必要なのは「結果の分析」ではなく、「結果から感じる直感」ですよ!
Contents
営業の分析の落とし穴。ありながちな失敗例。
「営業結果を分析する。」
これはとても大切なことですし、振り返りなくしては正しい戦略は描けません。
しかし営業結果の分析は、ありがちな落とし穴にハマることも多いです。
もしかしたらあなたの身近でも、営業の分析の名のもとに、無意味な営業会議・・・を繰り返している企業はありませんか?
現実的に役に立つデータ分析するには、大量の母集団が必要。
「断られた件数のうち、他社導入済みの割合は何%だ!?」
あなたは営業会議で、このような質問を受けたことはありませんか?
断られた理由を特定し、全体のNG件数に対する割合を求めることは、とても大切なことです。
しかしでございます。次のようなケースでは、どのような分析が正しいといえるでしょうか?
・担当者に接触した件数:50件
・断られた件数:20件
・他社を利用していた件数:6件
・他社利用NGの割合:30%
他社導入済みのNGは6件で、全体の30%。
半分・・・まではいきませんが、3割の企業がすでに他社製品を導入しているので、ニーズはあると思います!(キリッ)
たしかに、その通りでございます。間違いではありません。
・・・が、営業戦略的に正解か・・・といえば、残念ながら正しい分析とは言えないでしょう。
なぜなら断られた6件のうち、「どんな企業が」「どんな状況で」断ったのか、さらに詳しく項目(セグメント)を分けて考えなくてはいけないからです。
【他社導入済みのNGの内訳】
■従業員別
・従業員100人以上の企業のNG:2件
・従業員100人未満の企業のNG:4件
■業界別
・WEB制作業界:1件
・広告代理店:2件
・製造業:1件
・小売り:1件
・飲食:1件
例として、「従業員別」「業界別」のセグメントをあげさせて頂きました。
セグメントを細かく設定するほど、NGの具体的な傾向が把握できます。しかし一方で、細かく分けるほど、母数が少なくなるため、
「ぶっちゃけ、母数が少なすぎて、何とも言えないよな・・・」
という分析結果になってしまうのです。
これ、以外と多くの企業さんの営業会議、あるあるかなと思っております。
営業結果の正確な分析を求めるあまり、細かくセグメント分けを指示。しかし母数が小さくなりすぎて、結局、「来月も頑張ります」に落ち着いてしまうという。
営業結果の分析は、データ分析のもとになる母集団が膨大でなくてはあまり意味をなしません。
営業活動の履歴は、蓄積に時間がかかります。
WEBマーケティングのノリで500件の商談を分析して・・・と考えるのは、現実的ではありません。
客観的なデータを獲得する頃には、ビジネスの流れが変わっている。
「商談100件分析しても、正しい分析結果とは言い難い」
「商談500件の分析は、時間がかかりすぎる」
大手企業で全国各地の営業マンの膨大なデータが集められる環境なら別です。
しかし世に多く存在する中小企業であれば、正しい分析ができるだけの営業データを蓄積するのは現実的ではありません。
・・・といいますのも、これも営業(ビジネス)あるあるだと思うのですが、
「先月までは反応よかったのに、今月になったら風向きが変わってる・・・!?」
「来月から新商品をどんどん売れって、今までの商材のデータはどうするの・・・?」
など、ある日を境にいっきに風向きが変わる、ちゃぶ台返しになる・・・など、ありませんか?
これはその企業特有なのではなく、ビジネスとはこういうものなのです。常に変化し続ける、それがビジネスでございます。
もし仮に細かくセグメント分けしたデータが蓄積されたものがあれば・・・そのデータは使われることのなくお蔵入りになってしまうことに。
また営業活動において大切のはデータの蓄積、ではなくて、「今、その場で起きている環境の変化に対応しながら爆速で行動していくこと」、かと思います。
その意味でもデータ分析に営業が心血注ぐのは、やや現実的ではなくなってしまいます。
客観的なデータを提示されたところで、「まだ机上の空論」である事実。
もう一歩踏み込ませて頂きますと、蓄積されたデータから、ある答えを分析して導きだせたとしましょう。
「○○業界は○○での成約率が高い!」
「だから○○業界には、○○のニーズがある!」
「だからもっと売れるはずだ!!!」
最終的に導き出された答え「だからもっと売れるはずだ」。
これは耳にイカができるほど聞き飽きたフレーズ・・・かもしれません。
営業会議でこの悲劇が起きてしまうのは、現場と会議(理論)で乖離が起きているから。
分析結果としては間違ってない・・・のかもしれませんが、営業の現場としては、
「そうは言っても、○○で断られることも多いんだけどな・・・」
と思うことありませんか?
分析をするからには、「何か特定の答え」を見出さなくてはいけません。しかもできるだけポジティブな答えを。
このような予めポジティブな答えを導こうと想定された分析は、いわゆる「机上の空論」と呼ばれる答えになりがちです。
机上の空論で戦うには、一人ひとりの気合に頼る結果になりがちで、それって結局分析って必要だったの?と現場の営業は心にそっと想いを閉じ込めるのでした。
新規事業の成功は、PDCAサイクルを短くさせる!
営業の分析。営業を科学する。
それはとても大切な考え方で、弊社の「戦略的テレアポ代行」も基本的にはそのような考えの元、リスト精度を高め、効率的なアプローチをさせて頂いております。
しかしもっとも違うのは、PDCAサイクルの早さです。
弊社での「戦略的テレアポ代行」では、高速PDCAにより、新規事業をぐんぐん加速させていきます。
高速PDCAを可能にするために必要なのは、客観的で正しい分析・・・ではありません。
限られたデータの中から、これまでの営業経験をもとに、右か左か、瞬時にベターな選択肢を選び続けることです。
「それってつまり、見切り発車のことでは?」
とのご指摘が入るのでしたら、それはその通りかもしれません。いえ、むしろ堂々と「イエス、見切り発車でございます!」とお答えさせて頂きます。
これまでの営業経験から、
「○○だから、たぶん、○○だと思う」
のスピード感をもった判断こそ、新規事業の加速には不可欠な要素なのです。
SFAツールへの入力の手間。営業の機動力を奪っていないか?
営業において、スピード感は大切です。
スピード感とはメールの返信する速さだけでなく、売れる理由・売れない理由を瞬間的に感じ、次の行動に即生かす機動力のこと。
普及が広まるSFAツールはとても便利である一方、入力項目を無限に細かくできるため、しばしば営業の活動時間を奪いがちです。
それゆえ細かすぎる入力項目は、
・入力が面倒で、誰もまじめに入力しない。
・入力を一生懸命するあまり、本来の営業活動が減ってしまう。
という、2パターンの本末転倒を生み出してしまいます。
SFAツールはとても有用で、これから令和の営業を生き抜く上で必須のツール。
しかしだからこそ、「いかに活用するか?」のツールリテラシーが求められているのです。
使わないのは問題外。だからといって、項目ガチガチで運用すればいい・・・という訳ではありません。
営業が分析資料を作ったところで、売上は増えない。
「どの業界に響いてるの?」
「NG理由はどれが一番多いの?なんで?」
営業結果について、あれこれ詳しく聞きたくなるお気持ち、よく分かります。
しかしそのお気持ち、ほんの少しだけ抑えて頂けますと幸いです。
なぜなら
・営業活動の分析は、よほどのことがない限り、正確にはできない。
・営業の貴重なリソースを分析資料の作成に使うのはもったいない。
からでございます。
人間が集中して生き生きと働ける時間は限られております。その時間を本当に役に立つか疑問の残る分析資料の作成に充ててしまうの、少しもったいないと思いませんか?
大手企業のように、各支店から全国の膨大なデータな集まる環境であれば、話は別です。
しかし限られたリソースの中、ゲリラ戦を局所的に繰り返している営業組織において、このロスタイムは命取りになりかねません。
繰り返しで恐縮ですが、営業の分析において大切のは、
「○○だから、たぶん、○○だと思う」
の見切り発車であり、今の現状に即した改善策を、今すぐ実行して修正することが非常に大切なのです。
まとめ:大切なのは、データから正解を予想する力。
営業DXによりSFAツールの導入が普及しております。
例にも漏れず、弊社でもSFAツールを導入し、日々の営業活動を蓄積し、データ化しております。
しかし営業活動のデータ化・分析と、新規事業のブーストは別問題とお考え頂けますと幸いです。
なぜなら新規事業のブーストは、その場その瞬間での判断が求められるから。しかも限られたデータの中で。
大切なのは、限られたデータの中から、特定の答えを「予想する力」。そして予想した結果を踏まえ、行動を修正する機動力。
デジタル化が進む営業で、
・限られたデータの中から結果を予測する。
・予測した結果から、行動を修正する。
ニーズが高まります。
SFAツールはとても便利な道具ですが、道具を使うことが目的になってはいけません。まして分析することが営業、でもないですからね。
とくに中小企業での営業戦略の鉄板とされるゲリラ戦においては、その意味のはき違えは大きなロスタイムを生んでしまいます。
手前ミソで恐縮ですが、弊社の「戦略的テレアポ代行」は、精度の高いアプローチと素早い機動力をバランスよく兼ね備え、クライアント様の新規事業を強力にブーストさせて頂いております。
多くのクライアント様の新規立ち上げのサポートで磨かれるのは、いわゆる「営業のカン」。
多くの業界、商材を扱う私たちだからこそ、限られたデータの中から答えを予想し、行動に修正。たくさんの商談の機会を創出いたします。
SFAツールの導入は大前提。しかし導入しただけで満足してはいけませんし、なぞの分析項目を増やしすぎてもいけません。
売上を上げるゴールに向かい、最短距離でダッシュするには何をするべきか?
貴重なリソースを効率的に投下し、新規事業をブーストさせていきましょう!
もちろん、弊社への営業のご相談、ご依頼もお待ちしております!