こんにちは、河合商事の河合です。
弊社はインサイドセールス支援として、多くのクライアント様の営業支援をさせて頂いてきました。
その中でつくづく思うのが、営業の仕事の奥深さ。やればやるほど、そして教えれば教えるほど、その難しさを感じます。
「だからこそ、営業をマニュアル化することは難しい」
「営業はマニュアルではなく、人間同士の付き合いが大切だ!」
という認識を持っていらっしゃる方、多いのではないでしょうか。
かくいう私も、つい先日まで同様の認識を持っておりました。しかし今は違います。
「営業は難しい業務だからこそ、マニュアル化が必要である」
ポジショントーク抜きで、そう断言させて頂きたいと思っております。営業はマニュアルが必要であり、重要であり、そして効果的であると。
ただし営業のマニュアル化の難しさも重々理解しておりますが、しかしそれは同時にポテンシャルでもあると感じております。
この記事では営業のマニュアル化の重要性、効果について解説させて頂きます。
営業マネージャーの方はもちろん、プレーヤーの方にもぜひ見て頂きたい内容です。
結論から申し上げますと、営業のマニュアル化を進めることでこれまでの不幸が減り、営業本来の「やりがい」が嚙み締められるようになります。もちろん、成果も伴います。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ!
Contents
営業にマニュアルは不要!?現場に放り出され、退職していく同志たち。
「営業にマニュアルは必要だ」と、今は強く思っておりますが、しかし私もその重要性に気が付くのに時間がかかりました。
なぜなら営業ほどマニュアル化が難しい業務はないからです。
・業務範囲が広い(新規開拓から、提案書作成、アフターフォローまで)
・条件による分岐が多く、判断に迷う業務が多い。
・コミュニケーションに関する業務をマニュアルに落とし込むのが難しい。
・そもそも属人化しやすく、だれがどんな風に業務を進めているかわからない。
ゆえにマニュアルをしっかり覚えて営業する、というより、現場の荒波に揉まれながらたくましく成長する、というのが、現在の営業のキャリアマップになっているでしょう。
もちろんマニュアルがなくても営業を覚え、成果を出すことは可能です。しかしマニュアルがないことで発生している、多くの機会損失から目をそらしてはいけません。
営業で成果を出せずに退職していく同志たち。
マニュアルがないことで発生している機会損失は、営業の離職です。
離職率の高い営業職。その要因の1つに、「マニュアルがない」は、間違いなくランクインしているでしょう。
と言いますのも、営業を学ぶ環境は実践ありきであり、研修もそこそこに現場に放り込まれるスタイルが主流だから。現場で多くのお客さんとの経験をもとに、営業を覚えていきます。
現場でお客さんとのやり取りを通じて営業を覚えていく、とは聞こえはいいものの、しかし実態としては、
・いいお客さんに出会えなかった。
・いいお客さんには出会ったが、たまたま学べる案件がなかった。
・いいお客さん、学べる案件はあったが、それに気が付けなかった。
など、決して学びに適した状態とは言えず、ほか業務と学ぶ環境を比較すると、営業職がいかにサバイバルな環境なのか、よくよくわかるかと思います。
ビジネスの荒野でたくましく学ぶスタイルは、好条件がそろわなければ不運だし、不運が続けば退職の危機に瀕するのと背中合わせてです。
実際、私も新人営業の頃はまったく成果が出ず、3か月でクビを覚悟したほどです。
※まったく売れない期間の学びは、「売れないと、どうしたらいいかまったく分からなくなる」というもの。
このサバイバルスタイルの難点は、現場で「売れる経験」をしなければ、売れる営業を学ぶが難しいこと。
さらに対応するお客さんも新人営業を育てるつもりなど毛頭なく、新人といえど、むしろ新人だから塩対応になるのも無理ありません。(塩対応で学べるものも限界あり…)
「もしも新人営業が学ぶためのマニュアルがあれば・・・」
成果を出せずに苦しんだ、あの人も今も辞めずに済んだかもしれません。
営業マニュアルの難易度が難しいのは承知の上ですが、しかし営業の現状を考えると、「変えるのはマニュアル整備だ」とご納得いただけることでしょう。
営業マニュアルがもたらす効果
営業マニュアル推進派になった私ですが、お恥ずかしい話、少し前までは懐疑的な立場でした。
これほど複雑な営業をマニュアル化できるのか?完成した営業マニュアルは活用されるのか?と。
しかしマニュアル推進派となった私は、ある意味確信をもちはじめております。
営業マニュアルは効果が高い。ポテンシャルも高い。と。
これは新人教育にも役に立ちますし、営業組織のマッシブ化にも寄与します。つまり、これまでの不幸を確実に減らせるのです。
新人の即戦力化。商談デモ動画の充実により、学習速度の向上。
「マニュアル」と聞くと小さな文字がびっしり書いてある分厚い冊子、をイメージしますが、いいえ、マニュアルはそれだけではありません。
先輩営業の商談を動画データ化し、解説を加えたのも、立派なマニュアルです。
新人営業は先輩のデモ動画(しかも実際の商談)を何度も繰り返し視聴できるため、即戦力までの期間を短縮できます。
これまで新人が先輩の商談を学ぶには、実際の商談に同席させてもらう必要がありました。(同行営業)
しかし実際の商談では想定通りの流れ、着地点になることはレアであり、新人が知りたい商談に居合わせることは困難です。さらに途中ストップもできず、分からないことはすべて終わってから確認するという流れ。
これでは脳内フリーズしたあとの質問になるため、学習効率は下がってしまいます。
しかし営業マニュアルでは、新人が知りたいシーンの商談を、いつでも何度でも確認できますし、さらに商談中のポイントもリアルタイムで補足解説も可能です。
苦労して営業を学んだ先輩からすると、「楽をするな、苦労しろ」という話。しかし、いいえ、楽をしていいのです。ショートカットできるものは時短し、その分、先輩が成しえなかった部分で苦労すればいいのですから。
営業組織のボトムアップが可能。組織全体がトップセールスの型を学べる。
営業マニュアルで学ぶのは新人だけでなく、組織のすべて営業が対象です。
現実的には組織内にローパフォーマーもいることでしょう。しかしローパフォーマーに対し、最終的な数値だけで詰めていませんか?
「売上が足りない」「ノルマを達成しろ」
ノルマで詰めるスタイルでもある程度の効果は期待できますが、しかし大切なのは「売れる行動に対して、ノルマを課すこと」。正しい営業をする必要があります。
営業マニュアルでわかりやすく「正しい営業(商談など)」が動画解説されていれば、組織のすべての営業が学べます。
モデルとなるのは、社内のハイパフォーマーの営業の型です。
これまで営業といえば、
・社外に出てしまい、行動が見えにくい。
・個人で行動するので、ノウハウが共有されにくい。
・新規開拓から一気通貫で対応する場合、個人で完結しやすく、情報が属人化しがち。
と、せっかくのトップセールスのノウハウが周囲に展開されない環境でしたが、マニュアル整備することでノウハウ共有できる環境となります。
もちろんマニュアル通りだけで成果が出るとは思いませんが、しかし学べるものも多く、
・商談の話の構成
・商談での話し方
・商談前後の準備、フォロー
・メール対応の内容とそのタイミング
・提案書の作り方
など、ハイパフォーマーの業務をマニュアル化する効果は非常に高いです。
業務効率化され、本来集中すべき業務にリソースが投入できる。
営業マニュアルが必要なのは、大きな組織だけ。
あなたはもしやそう思ってませんか?たしかに人数が多いほどマニュアルの恩恵も増えますが、しかし小規模の組織、また営業が一人の組織でもマニュアルは効果を発揮します。
なぜなら営業マニュアルを整備することで、業務効率化が図られ、本来集中すべき業務にリソースが投入できるからです。
営業マニュアルの存在は「新人が学ぶ」だけでなく、既存業務の効率化にもあります。
たとえば、顧客とのコミュニケーションの中でも、
・同じ内容を何度も説明している。
・商談後、検討フェーズに入ったときに送付する資料はだいたい同じ。
・検討状況をメール確認する文面も、だいたい同じ。
と、まったく同じケースはなくとも、似たようなケースは日々の営業の中でも頻出します。
このような「よくあるシーン」に想定して営業マニュアルが整備されており、必要なテンプレートをカスタムして送付するだけ、という状況にしておくと、業務スピードは飛躍的に向上します。逆に毎回ゼロベースで回答するのは、時間と労力がかかります。
もちろん、早期からマニュアル化しておくことで、いざ組織化がはじまったときの立ち上がりも早くなるので、やはり営業マニュアルの恩恵は大きいと言えるでしょう。
属人化、営業のブラックボックス化を防ぐ。
営業はマニュアル化が難しいため、放っておくと属人化が進んでしまいます。
とくに「最終KPI(売上)さえ達成していれば、あとは目をつぶる」というよくあるスタンスで組織運営していると、フタを開けたときには属人化の塊になっているのは、もはやあるあるすぎて当たり前の光景かもしれません。
ですが、この状態も営業マニュアルの整備で解決できます。
1つ1つの業務をマニュアルに落とし込むことで、売れるための正しい行動が組織に蓄積されていきます。
成果が出ていることは素晴らしいことですが、肝心なのはその成果は、
・誰がやっても再現できるのか?
・どんな行動が成果につながっているのか、把握できているか?
・業務が整理され、オープンに明確になっているか?
を、きちんと業務として把握しておくこと。
営業マニュアルの整備は、成果が出るノウハウをパッケージングしていきます。
その人が急に退職しても、問題なく売上が維持できる、という形を作るのが理想です。
退職の引継ぎが円満になる。
退職は、いつの世も急に切り出されるものです。
そしてこと営業での退職は、引継ぎでも難航します。なぜなら、
・マニュアルがない。(その人個人に任せられてる業務が多すぎる)
・既存顧客の中には、「その担当だから取引している」企業が一定数いる。
・最悪、退職と同時に顧客の引き抜き発生の恐れ。
という状況だからです。
普段、業務が属人化、ブラックボックス化されていても、成果が出ているうちは、まだ目がつぶれます。しかしいざ退職となった瞬間に、今までの属人化、ブラックボックス化が大問題となり、しかもトップセールスの退職ほど、火の消える気配のない大炎上となりがちです。
営業マニュアルの整備は、もちろん退職引継ぎにも役に立ちます。
日々コツコツと業務を分解し、言語化してマニュアル蓄積しておくと、いざというときに感激するほどに役立つでしょう。
なぜならマニュアルさえあれば、あとはそれをカスタム(アレンジ)して営業すればいいのですから。
さらに踏み込みますと、日ごろの営業活動のデータは、CRMへの集約しておきましょう。
営業データを個人で所有せず、組織で共有する環境を構築することで、
「営業データはすべて保存されている」
「営業データを見れば、すべての履歴が閲覧できる」
と、退職による引継ぎもスムーズになります。
もうこれで顧客から「なんで引き継いでないの?」と言われる心配もありません。
余談ではありますが、営業マニュアルを後回しにしていると、退職者が出るたびに組織が弱体化する恐れがあります。
優秀な営業ほど退職しやすいことも加味すると、彼らが在籍しているうちに、マニュアルに落とし込む重要性、ご理解いただけるのではと思っております。
営業マニュアル化により、社外アウトソースも可能に。
営業マニュアルは、もちろん社内向けがメインです。
しかし業務整理をすることで、「そもそも、社内でやる必要なくない?」という業務も見えてきます。
社内でなく、社外、つまりアウトソーシングでも同程度の成果が上がるのであれば、社外に業務を持ち出してしまうのも1つの手です。
・採用の必要がない。
・定着の取り組みの必要がない。
・引継ぎの必要がない。
・教育の必要がない。
など、自社でやるならば当然発生するコストが、アウトソーシングなら負担する必要がありません。
アウトソーシングなら、純粋に成果(費用対効果)で効果測定ができるのですよね。
営業プロセスを切り分けてしまうと、社外に持ち出せる業務として、
・アウトバウンドの架電
・インバウンドの対応(メール、架電)
・新規商談対応
・リスト制作、CRMデータ入力
などがあります。
属人的になりがちな営業の仕事をマニュアル化・言語化しておくと、社内だけでなく、アウトソーシングを検討する場合でも役に立ちます。
宣伝となってしまい恐縮ですが、弊社では営業のアウトソーシングとして、テレアポ代行・インサイドセールス代行をさせて頂いております。
ご利用頂いているクライアント様からは、「諸々のコストを下げる(肩代わり)しながら、しっかりと成果を出せる」という点にてお喜び頂いております。
まとめ:営業マニュアルの恩恵は想像以上に大きい。
営業マニュアルの作成が難しいことは承知しております。
しかしそれを承知した上でも、作成するメリットは非常に大きいです。
【営業マニュアルを作成するメリット】
・新人の即戦力化。商談デモ動画の充実により、学習速度の向上。
・営業組織のボトムアップが可能。組織全体がトップセールスの型を学べる。
・業務効率化され、本来集中すべき業務にリソースが避ける。
・属人化、営業のブラックボックス化を防ぐ。
・退職の引継ぎが円満になる。
・社内だけでなく、社外に業務を任せられる(アウトソーシング化)
営業の悩みといえば、「売れないこと」に尽きてしまうのですが、しかし売れない原因を紐解いてみると、ひとえに「正しい営業ができてない」にたどり着いてしまいます。
「正しい営業」とは、すなわち営業マニュアル。業務の性質上、簡単に作成できるものではないものの、作成するメリットは非常に多きいといえるでしょう。
何を隠そう、私も「超・属人的な営業」出身でありながら、今ではすっかり営業マニュアル推進派になったこと。そして今なお、現在進行形で社内営業マニュアルの整備を進め、その恩恵をひしひしと感じていること。
この素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えできたらなと思っている次第です。
ぜひ営業マニュアル、着手してみて下さいませ!